【個別分析】毎日コムネット 後編

先週記載した毎日コムネットの分析後編です。

【セグメント分析】
前編にも記載しましたが、毎日コムネットは大きく分けて以下、4セグメントに分かれています。

●不動産ソリューション事業(不動産デベロップメント部門):開発した物件の売却
●不動産ソリューション事業(不動産マネジメント部門)  :管理物件のサブリース
●学生生活ソリューション事業(人材ソリューション部門) :免許取得、合宿支援
●太陽光発電事業

競合他社のジェイエスビーや共立メンテナンスは管理事業に特化しており、自社で物件を仕入れて販売する、不動産販売事業は少ししか行っていません。毎日コムネットの事業上の特色でもありますので、こちらを含めた直近の業績推移は以下のようになります。

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営業利益ではセグメント内の分解が困難となるため、粗利ベースで算出しました。御覧の通り、不動産販売の割合は管理事業の15%以下になります。仮に不動産が今期全く売れなくても、管理事業が手堅く推移していれば、少しの減益で済みそうです。管理戸数の増加と契約更新時の失注が無ければ、大局的には安定的に推移しそうなことも伺えます。稼働率100%に近い状況なので、失注するようなことにはなりにくいとは思いますが、サブリースの条件面での折り合いについては他社との競争になると思います。

学生生活については、近年は鈍化しています。学生生活ソリューションはサークル合宿や免許取得支援、就職支援です。昔ながらのサークル活動や免許取得は個人主義、コスパ重視の潮流を考えると先細る可能性はありそうです。就職についても制度そのものが大きく変わる可能性もあります。学生との接点を活かした起業支援のようなベンチャーキャピタルを起こすなどの新たな収益柱やシードが出てくると面白そうですが、現時点では今一歩という評価だと思います。

太陽光発電は新規で物件を取得していく意向が会社側にはなさそうなので、このまま現状維持と思われます。

当社を成長株としてみるなら管理事業の積み上げに期待していく方向と思われます。改めて確認していきましたが、不動産や周辺事業に特化していますが、日本管理センターなどのサブリース事業者が行っている家賃保証、保険などの金融事業は代理店に任せており、自社では手掛けていないようです。学生ローン等を含めて、ニーズはありそうなので、今後の伸長余地と見れるかもしれません。

【競合比較】
以下、長期的な業績推移を競合2社含めて、3社で比較してみました。

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共立メンテナンスの寮事業を切り取る形で比較したため、セグメント利益(調整額抜き)のみで比較しています。
共立メンテナンスについては、ホテル事業にリソースシフトしている傾向もあり、寮事業の利益成長はややマイルドな傾向にあります。ジェイエスビーについては赤字だった介護施設の管理が直近黒字化していることもあり、4年で比較しても大きな利益成長となっています。

ジェイエスビーと共立メンテナンスは自社物件の運用にも積極的でジェイエスビーは100億円ほどの学生マンションを自社管理、共立メンテナンスは700億円ほどが自社物件です。毎日コムネットは30億円弱と他2社に比べ、自社物件運用は少ない傾向にあります。ポジティブに言えば経営資源を固定資産ではなく、流動資産に回すことで効率的な経営を行っているとも言えますが、ネガティブに言うと成長余地が他社に比べて劣ると言えます。

また、3社の提携事業者を確認しましたが、各社生協や学生センターとの協業を多く行っており、事業規模に比例して深掘り出来ているように感じました(共立メンテナンス>ジェイエスビー>毎日コムネット)。提携していなくても大学や生協のHPで実質的な提携のような紹介をされているので、提携大学/専門学校数の定量比較しても有効でないように感じます。境界線みたいなものはありませんが、ざっくり言うと、共立メンテナンスは国公立大との直接提携が強み、ジェイエスビーは全国の生協と提携しているのが強み、毎日コムネットは上位2社の網にかからない単科大や私立大や専門学校との提携に強みという感じでしょうか。

【指標比較】
指標についても競合2社含めて、3社で比較してみました。

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共立メンテナンスは時価総額も大きく、機関投資家が組み入れていることもあり、割高な傾向にありますが、他の2社についてはPER10倍程度と割安な水準です。一般的な不動産銘柄としてみると普通~やや割高な水準ではありますが、ストックで利益が積み上がる有望な事業を考慮すると業績の確度も安心感がありますので、割安だと思います。ROEについてもジェイエスビーと毎日コムネットは15%代であり、5年平均も10%以上でしたので、安定成長している強い事業で経営効率が高いと言えると思います。

成長を続けている業種でもあるため、毎日コムネットを除き、各社配当利回りは低めです。配当金による還元より、前述の自社物件取得を優先することで利益成長にこだわっていることが伺えます。毎日コムネットは自社物件取得などの将来的な成長性より、高い株主還元を優先しており、緩やかな成長と還元を両立させていると言えます。

【まとめ】
業界としては女子学生や留学生の増加や、首都圏大学の流入増加により安定成長が続いていますので、どの企業も中期的には投資妙味があると思います。ただ、業界の成長鈍化や物件の供給過剰によるサブリースの条件を変更せざるを得なくなる価格競争に晒される可能性は留意すべきと考えます。

毎日コムネット、ジェイエスビー、共立メンテナンスの3社の投資スタンスは以下の通り。

毎日コムネットに関しては、学生マンションと学生ビジネスに特化した緩やかな成長とそれに伴う増配を狙う、長期的な配当成長株投資に向いていると思います。
ジェイエスビーに関しては、学生マンションと介護施設を合わせたビジネスで、自社物件取得による将来的な利益多寡を狙う、長期的な成長株投資に向いていると思います。
共立メンテナンスに関しては、ホテルと寮事業を合わせたビジネスで、スケールメリットやシナジーを活かした長期的な利益成長を狙う、成長株投資に向いていると思います。

【個別分析】毎日コムネット 前編

すっかり不人気となっていますが、割安成長高配当でありながらストックビジネスの側面をもつ毎日コムネットをご紹介していきます

毎日コムネットは首都圏に特化して学生向けマンションの管理事業を行っています。 色々調べているうちに長くなってしまったので、個別業績のことは後編に記述します。前編は現状の業界比較や学生マンションについて重点的にお伝えしていきます。

大きくセグメントは以下のように分かれています
●不動産ソリューション事業(不動産デベロップメント部門):開発した物件の売却
●不動産ソリューション事業(不動産マネジメント部門)  :管理物件のサブリース
●学生生活ソリューション事業(人材ソリューション部門) :免許取得、合宿支援


一見すると、あまり面白みもない会社だと思いますが、学生マンション紹介が大学と蜜月な関係であるため、新入生は当社の学生寮に斡旋されます。そこで横のつながりを得て、学生生活を謳歌します。一般的な賃貸マンションと異なり、最大でも4年(院生なら6年)で退去することになるため、学習塾のような性格も持っています。その他、学生生活ソリューション事業により不動産以外においても、自動車免許取得の斡旋やサークル活動の支援、就職支援と学生との繋がりを武器に安定的なビジネスを展開しています

【マクロ的な状況】
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少子高齢化なのに全国的に大学生数は横ばいから、やや減少程度に落ち着いているようです。これは諸説ありますが、高卒が減り大学に入る人が増えているという説や、人口ボリューム層である団塊Jr世代の子供が大学生になる年齢のため、下げ止まっている説があります。上図は都内の大学生の推移ですがここ数年微増を維持している状況です。偏差値の高い大学が都内に集中しており、学べる分野も広くなることや、サークル活動などで楽しく過ごせるのも都内の強みですし、就職にも有利になるため首都圏に大学生が集中するのは自然の摂理だと思います。

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一方でポジティブなのが留学生です。ここ数年激増しています。ざっくり調べると政府が留学生誘致のために制度を作っているからです。少子高齢化で働き手が必要なため、大学で日本語に触れさせて、そのまま就職してもらう狙いがあるようです。

上記はJLLのレポートから引用しています。この記事を見れば将来に楽観的な気分になります。
JLL学生寮に関するレポート

現状では三井不動産や東急不動産のような大手デベロッパーも学生寮の開発に乗り出していますが、管理については当社やライバル企業に任せているケースも多いです(東急は子会社のナジックが運営しています)。学生を勧誘するためには、各大学の学生センターや生協と密に繋がる必要があり、専業の当社やライバル企業が今まで続けてきた草の根営業を行う必要があるからです。これが本事業の強みと考えます。

【業界比較】
<戸数などの比較>
学生向けマンション管理は専業1位はジェイエスビーですが、共立メンテナンスの学生寮部門の規模も大きいです。
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毎日コムネットは業界内では3位になります(東急を調査出来ていないので4位かもしれません…)。ジェイエスビーは京都から祖業し全国展開しており、管理物件の地方割合も多く、戸数は最大ですが、戸数当たりの売上は少し落ちます。共立メンテナンスはスケールメリットを活かして運営していることもあり、1戸あたりの売上は全国展開のわりに高水準を維持していることが伺えます。毎日コムネットは首都圏集中のため1戸あたりの売上は他社比で強い特性はありますし、ドミナント戦略により社員数も他者に比べて少なく効率的な運営が出来ている事がわかります。とはいえ参考に記載した毎日コムネットの営業利益率は物件売買も加算した数字であり、共立メンテのドミトリー部門の営業利益率に劣っていることは事実であり、スケールメリットを活かした共立メンテナンスの壁は大きいと思います。

<ネットへの取り組み>
次にネット展開を見ていきます。毎日コムネットは学生マンション.comや学生寮.comという部屋探しサイトを運営しており、ネットからの集客にも力を入れています。以下、グーグル検索の状況です。
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「学生マンション」のワードでは全国展開するジェイエスビーのunilifeの方が検索1位にきており強力で、2位の学生マンション.comに比べ調査したところアクセス数も4倍近く差があります。3位に記載されているナジックは東急不動産が運営する学生情報センターという企業で競合の管理企業です。ジェイエスビーは全国に店舗展開していますが、毎日コムネットは店舗も首都圏にしかありません。

次に「学生寮」の検索結果です
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学生寮の検索結果では学生寮.comが1位で共立メンテナンスの学生会館ガイドが2位になっています。学生会館は学校側と共同で開発するPJも多く、生協や学生センターから集客する関係上、Webサービスにはそんなに力を入れていないのかもしれません。

<物件やREITとの関係について>
学生マンションは毎年新入生が入居するため、高稼働率が維持出来る物件として上場REITや私募REITが好んで組み入れしています。毎日コムネットは14年連続四月時点の稼働率100%を達成しているようです。共立メンテナンスのドミトリー部門全体でも97%前後の稼働率を維持しており、建てれば高稼働を維持できる状況にあります。

毎日コムネットはカレッジスクエアとカレッジコートのブランドで物件を開発し販売もしくは自社運営しています。販売先は多くが私募REITや上場REITになります。カレッジスクエア茗荷谷など多数を日本賃貸住宅投資法人に、レジディア駒沢を始めとしてアドバンスレジデンス投資法人にも供給、カレッジスクエア八幡山などをコンフォリア投資法人に提供、インヴィンシブル投資法人もカレッジスクエアを組み入れています。また、伊藤忠が展開するアドバンスレジデンス投資法人のレジディアは伊藤忠アーバンコミュニティが直接開発しているブランドであり、毎日コムネットとの共同PJもありましたが、地方に関してはジェイエスビーとの共同PJもあります。

ジェイエスビーや共立メンテナンスが扱う学生会館や、共立メンテナンスのドーミーブランドについてもREITは積極的に関与しており、各投資法人で積極的に組み入れています。

以下は立地についてです。
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上記の図はカレッジスクエアとカレッジコートの分布を表しています。首都圏を少し外した練馬や武蔵野や多摩地区に多く分布しています。マーチや日東駒専を思い浮かべて頂けると想像しやすいと思いますが大学のキャンパス自体、旗艦キャンパス以外はちょっと外れたところにありますよね。その離れたキャンパスに電車で通いやすい、さらに割安な地区に開発するのが一般的です。それでいて、高稼働率を稼げるので収益性も上げられるということで魅力的な投資先ということがご理解頂けるかもしれません。

ちなみに図示しませんが、学生会館やドーミーブランドはカレッジコートなどに比べて都心よりに集中しています。スケールメリットが全然違うということを痛感します。共立メンテナンスの利益率の高さは寮運営の効率化はもとより、都心部の収益性の高さも背景にあるように推察できました。

<物件について>
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カレッジコート上板橋

上記は毎日コムネットが所有する物件です。築28年で間取りは1R4畳半ですが、上板橋で考えると家賃4万は割安に見えます。しかし、管理費月払いで5.7万円にあがり、食費込みなので家賃9万円です。これに保証人代行を付けると10.5万、光熱費ネットを加算すると、最大12万になります。この金の成るルームが170戸もありますので、2.4億の売上になります。利益率50%とざっくり考えても、当物件は有報上10億と記載されていますのでNOI利回り12%になります。河合塾と提携しているため予備校生用の寮としても使われている側面があり、集客するチャネルが多いのも特徴です。

毎日コムネットの場合、自社物件の割合は少なく、ほとんど他社物件の管理にはなりますが、ストックビジネスとしての手堅さの源泉はこの高い収益力にあると考えています。

毎日コムネットは連続増益連続増配銘柄であり、長期的に堅調に業績推移しています。後編では、その背景や、各セグメントの課題、他社との比較を中心にお伝えしたいと思います。

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通信系SI勤めの30代のSEで、PMをやっています。保有株は友達を合言葉に企業と共に自分も資産も成長するそんな投資が好きです。同業他社など、地の利を活かせる企業に投資します。当ブログはリンクフリーです。

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