【決算レビュー】ロジネットジャパン 19年本決算

ロジネットジャパンの2019年本決算が5/13に発表されました。決算内容を確認していきます。
過去の分析記事はこちら

<前期の動向>
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事前予想が営業利益27億でしたので、13%上振れ着地となっています。3Q時点で進捗率90%でしたので、予想通りの上振れ着地となっております。トップラインも伸長していますし、順調そのもの。特にコメントも無いですが、西日本子会社がアマゾンのデリバリープロバイダに選ばれたことでトップラインが伸長したことに加え、賃上げや業務効率化などで、2年連続20%増益となり成長モメンタムが継続しています。

以下、直近三年のセグメント推移です
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札幌通運の伸びが素晴らしいです。今期よりロジネット西日本もアマゾンデリバリープロバイダに指定されたことにより、西日本も利益が急成長しています。当社以外のアマゾン配送業者である遠州トラックやSBS、丸和等も絶好調なので、生かさず殺さず共栄の道を歩んでいるように見えます。中央通運は現状は前年比減益ですが、次年度は再編によりロジネット東日本に変わりますので、業務集約等により成長が期待できるかもしれません。

<財務、CF等について>
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今期の大幅増益により、BPSが1953円まで伸長していますので、足許では株価も上がっていますが、PBR1倍割れな状況になっています。今期は投資CFが前期に比べ大幅に増加しています。これは問い合わせたところ、事業拡大に伴う車両の購入が増加したということでしたので、積極的に事業投資を行っていることが伺えます。

配当では前期を6円増配、今期予想ベースで5円増配し、還元にも力を入れています。成長が継続しているので、配当性向に関しては一定であり、業績と共に配当が増えているので良い傾向に見えます。2016年からの連続増配なので、4年連続増配になります。

<今期予想と中計について>
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来期予想は営業利益で6.3%増益予想となっています。EC取り扱い増加を背景とした成長モメンタムがあるにしても、労働集約的なビジネスであることも事実で、人件費の上昇等を考えると致し方ないかもしれません。

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中期経営計画も発表されています。売上700億、営業利益38億、自己資本比率50%が最終年度の目標になりますが、今期予想が33.5億円でEPS350円なので、38億ならEPS400円という皮算用になります(現在の株価でPER4.4倍ほど)数字的には1桁増益程度のローリングと寂しい部分もありますが指標を考えると成長意欲がみえるだけで十分な内容と感じています。マテハン導入や再編など、具体的な内容が挙げられていましたので理解が捗りました。

<指標など>
PER4.9倍、PBR0.9倍、配当利回り2.7%、予想ROE17.95%


札証単独上場なので、地方ディスカウントがされている状況ではありますが、しっかり成長して、株価も昨年は調整したこともあり、PERは切り下がってありえない状況になっていますし、PBRも1倍以下に戻りました。内需で収益の継続性もある業態で、時価総額120憶で毎期営業利益を30億稼ぐ会社は希少だな~と改めて思います。加えてPBR1倍割れでROE15%以上とかほとんど見たこと無いです。CAGR20%という状況ですが、普段は板もとびとび、出来高もほとんどないような過疎株であり、流動性リスクを考えると当然と思います。安易な気持ちで買える銘柄ではないと思うので、数年売れなくても問題ないというような奇特な人に気に入られて欲しいものです。

【個別分析】ロジネットジャパン

【事業内容など】
当社は札幌通運、中央通運、ロジネット西日本(旧青山本店)の3社を中心とした企業です。運送業であり、鉄道貨物輸送に関しては、JR貨物に次ぐ業界2位の規模となっています。企業向けの3PLから個人向け宅配、引っ越し業、自社製造のペットボトル水の販売、旅行サイト運営など、多角化しています。特色としては3社併せて、自社グループのみで全国配送網を構築できていることです。札幌証券取引所に上場しており、地方銘柄となりますが、昨年実績ベースで売上高560億、営業利益26億と、既に全国区の規模を誇ります。転機となったのはヤマト運輸のAmazon配送撤退による委託配送の急増です。BtoB向けの輸送増に加えて、個人向けのAmazonの配送委託の急増という追い風と輸送料金の見直しもあり、ここ数年、急成長してきました。

陸運業はセンコーグループやSBSHD、カンダHDのように自社で倉庫を開発して事業を行う企業と、倉庫をREITなどに借りて、事業を行う丸和運輸機関のような企業に分かれますが、当社は後者のノンアセットに該当します。立ち上がりの費用はありますが、物件の償却負担はなく、利益がすぐに積み上がりやすい傾向にあります。前者の場合は償却が軽くなった時期に利益が伸びるのと、アセットの売却や資産価値向上の期待も出来るため、一長一短ですね。

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【業績等について】
以下は長期的な業績推移になります
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長期的な業績推移を確認すると、2015年以前と見違えるような業績となっています。特に大きかったのは、ロジネット西日本(株式会社青山本店)を2012年にM&Aを行いましたが、経営状況の芳しくない企業だったため2015年に大幅な減損をしています。(参考記事)極論にはなりますが、運送業は倉庫とトラックと人がいれば成り立つので、札幌通運から役員を派遣し、立て直しを図り、結果的に昨今の成長にも寄与しています。営業利益でみると2016年73%増益、2017年39%増益、2018年21%増益、2019年6%増益(予想ペース)と見違えるような利益成長を遂げています。先般の減損と、売上上昇に伴う利益増により、ROEが急増しており、ここ数期はROE17%以上を確保しています。

現在、株価が1650円なので、指標としては
予想PER5.6倍、予想PBR0.9倍、配当利回り2.2%
と非常に割安になっています。自己資本率もここ数年で改善し、36%となっていて同じセクタの普通レベル。事業規模の拡大に伴い、成長鈍化が懸念されますが、前期実績で最終利益は17.8億となっており、時価総額110億。6年で元本が回収可能となるレベルです。仮に今期から横ばいが6年続くと、BPSは3200円を超えるので株価が同じ水準を維持し続けると仮定するとPBR0.5倍ほどになります(実際は配当や優待も行いますので、BPS成長はもう少し落ちます)。昨年、一昨年と有利子負債を大きく返済しており有利子負債倍率が2倍から0.7倍まで圧縮されていて、財務状況が改善していることから、積極的な還元姿勢(増配)も伺えますので、今後もこの傾向が続くと思われます。増配ペースは2割ほどなので、来期配当は42円ほどを期待したいところ。ここ数年の成長が一過性のものであり、減益傾向となるなら話は別ですが、事業規模や事業内容、高ROEが示す通り、その可能性は低いと考えています。

直近の3Q決算は以下の通り
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足許では北海道地震や西日本の豪雨など災害があったにも関わらず、3Qまでで2ケタ以上の営業利益成長となっており、成長性は色褪せていません。稼ぎ頭の札幌通運が好調、鉄道の中央通運が赤字、ロジネット西日本が前期減益から回復している状況で、全体でも会社予想を上回る着地となっています。3Q偏重の傾向があり、既に会社計画比で進捗9割まで達していますので、前期4Q並みの着地で減損などなければ、営業利益30億円前後、EPS300円~320円程度は期待できると思いますが、業績が良くても買われない超過疎株ですので、淡々と業績動向を見極めていきたいところです。

今後については、昨年11月にリリースされた、グループ再編に期待しています。札幌通運、中央通運は関東圏をカバーしており、業務領域が重複するところもあるため、ロジネット東日本会社を立ち上げ、リソースの集約を図り、最適化を推進しています。2年前にリリースされたJR貨物との提携にて、貨物列車の空きスペースを活用したR&R輸送も中長期的にはプラスに作用するものと考えます。

リスクはアマゾンの委託契約でしょうか。札幌通運の評判は悪いようなので、Amazonの委託契約の打ち切りとなると、かなりマイナスに作用しますが、昨今のEC需要増に伴う輸送業者増を考えると、早々にネガティブなことは起こりにくいと考えます。

【同業他社との比較】
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この手の比較は、某か〇めさんのブログを見た方が良いと思いますが、せっかくなので自力で確認していきます。同業他社の3Q決算を確認すると、当社だけものすごいって訳ではなくて、各社、運賃の適正化を図り、二桁増益以上は確保しています。強いて言えば替えの効く事業だからこそ、業界全体の好況は各社取り込めるという、私の好むSIerのような状況にあります。ただ、運送業は商品を運ぶことがお仕事であり、労働集約型ビジネスのため、営業利益率が低く、業績がブレやすいです。固定資産の減損も度々発生しますし、スーパーなどの小売と同様安定感には欠けます。

比較に戻りますが、ROEでみていくと高ROEを確保しているロジネットが割安のように見えますが、割安さに着目すると岡山県貨物運送なんて、PBR0.3代でPER5ですからね。成長性でみていくと、個人に人気の同じアマゾン委託を行っている遠州トラックでも充分替えが効きます。一見すると総合的にロジネットジャパンがバランスが取れているようにみえますが、割安さについては札証銘柄で出来高もほとんどない、超過疎株だからこその割安とも言えると思います。まぁ、過小評価されている銘柄の宝庫なので、単に安いとも言えないですよね。

今期予想は売上高600億、営業利益28億であり、事業規模は中小企業の中では存在感のあるレベルなのは事実で、比較対象の丸和運輸は売上800億、営業利益56億。利益率や3年以上の長期的な利益成長を比較すると話になりませんが、丸和運輸が時価総額1100億に対してロジネットは110億程度と強烈な割安さを秘めていることが伺えます。

【まとめ】
以下は直近二年の株価チャートです。
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株価においても、2017年の始め頃からアマゾン関連株として人気化し、四半期毎の利益成長も相まって、一気に割安が訂正されました。当時は小型株が人気で鎌倉雄介さんのブログで推奨しており、地方の運送会社なんてよく推奨するなぁと冷めた感じで見ていました。今では過去の栄光も、しこりとなってマイナスに作用し、相場軟調により、不人気割安株の位置づけで、今では私と同じような割安株好きの方々(マイナーな割安株ブログ臆病者による割安株バリュー投資)も保有や監視されている、マイナー銘柄になります。

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今年度が最終年度の中期経営計画ではバリュー株とは思えない野心的な内容で、4Qに大赤字でなければ大幅に上振れで達成です。次年度に策定される新中計においても強気な内容を掲げることを期待しています。

引くぐらいの超過疎で、流動性のない割安銘柄は先回り投資の対象となりやすいことから、マニアックな個人投資家によって株価形成が成されており、一筋縄ではいかない印象を持っています。それでも、各種指標や近年の堅調な業績推移を考慮すると、長期投資対象として非常に魅力を感じます。

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3月権利で水が貰えますので、優待を楽しみにしています!
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とす

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通信系SI勤めのSEで、PMをやっています。保有株は友達を合言葉に企業と共に自分も資産も成長するそんな投資が好きです。同業他社など、地の利を活かせる企業に投資します。当ブログはリンクフリーです。

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