【個別分析】イチネンホールディングス

私が、本銘柄と出会ったのは2017年の日経IRでした。当時は小型株ブームで何でも上がったんですが、株価1400円ほど、EPS150円、PER10倍前後の状態でした。担当者の方に例の如く、質問攻めをしてみたのですが、担当者も認められていた通り、成長性が弱く、大きく伸長する企業では無いという認識で、投資するには至りませんでした。ようやく株価も割安圏で成長の芽も出てきたように思いましたので、少し前から投資することになった次第です。

【事業内容など】
イチネンHDはオートリースを主要事業としている企業です。馴染みの薄い事業ですが、主に社用車で利用されています。会計上、購入するよりリースにする方がメリットは大きいです。ただ、オートリースというと、大手信販会社の子会社を中心に事業を行っています。大手としてはオリックスや、だいぶ前にNTT子会社と東京センチュリー子会社が合併して出来た日本カーソリューションズが有名です。

企業業績に左右されず一定の需要は想定されますので安定しているともいえます。某総研の調査では2024年までに年5%程度の成長が見込まれるそうです。

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以下、決算資料を中心に確認していきます。

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決算資料に記載されたSWOT分析です。当社の強みは独立系で、整備事業に古くから参入しており、メンテナンス等の付加価値を加えられることです。中核都市は財閥系や商社系等の大手との争いになるため、地域密着で地方を中心に営業出来ていることも優位性と考えられます。このへんはプレミアグループと似ているように思います。このセグメントの営業利益率は7%程度です。PPM分析で言えば金の卵と花形の中間にあたると思います。

更に当社は本業の他にも、機械工具販売や駐車場、ケミカル事業など、多角化が行われております。工具と樹脂は安定しているとも言えませんが、ニッチな企業を割安でM&Aしながら、着実に業績をあげています。以下、セグメント毎の考察を行っていきます。

<ケミカル事業>
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ケミカル事業は整備工場などで使⽤する補修⽤ケミカルや製造業などで使⽤する潤滑剤、防錆剤、添加剤などを扱っています。本業に沿った構成であり、自社の整備事業での消費や取引先への展開など、シナジーを想像しやすいです。売上高は110億、営業利益は12億で、営業利益率は10%程度となっています。成長事業とは言えませんが優秀な事業構成に見えます。

<パーキング事業>
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実はこのセグメントが当社の成長事業になっています。売上高は54億円、営業利益は7億で営業利益率は13%を確保しています。営業利益成長も2桁成長を確保しています。競合のパーキング専業のパラカが15%程度の営業利益率なので、検討しているように思います。リースの営業で得た情報を元に事業を進めていそうな雰囲気がしますが、公共の付帯駐車場が得意という点からも関連性が見えませんので、このセグメントについてはどこかで要因については伺う予定です。過去のIRイベントではこのセグメントを成長事業として位置づけている旨を伺いました。

<機械工具事業>
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このセグメントは非常にユニークなセグメントです。直近のIRで発表がありましたが、子会社(トヨシマ、イチネン前田、イチネンミツトモ)がイチネンMTM社に集約されました。2018年1月に自動梱包機製造の昌弘機工を買収したことに加え、フォークリフト用フォークや自動車部品の製造を手掛けるトヨシマが事実上の倒産状態に陥ったのですが、イチネンHDが再生に向けて吸収を行いました。トヨシマは2017年は売上高50億:純利益-5憶、2018年度は売上高50憶:純利益-3憶と、純利益ベースでは赤字ですが回復の傾向も伺えます。トヨシマは現在の進行期では負ののれん益11億が計上されますが、来期は剥落することになります。最終益で赤字ではありますが、経常利益では黒字ですので、利益押し下げとはならないと見ています。
元々、本セグメントは整備工具を中心としたニッチな色合いが強いセグメントでしたが、機械製造メーカーとしての色合いが強くなりました。2018年は売上130憶で営業利益1億となっていますので、営業利益率1%となります。現時点では微妙ですね。2016年は売上30億、営業利益2.6憶と10%弱の利益率がありましたので、M&Aをしてきても、即利益貢献とまではいっていないように見えます。来期はトヨシマ分を加えて売上180憶円となる見込みなので、遠い将来、営業利益率5%程度まで戻ると営業利益が9億円になりますので、ポテンシャルはあると思います。

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SWOT分析からも、現状ではやや課題が大きいように見えます。規模は着実に増えて来ており、売上だけみるとJQや東2の上場機械メーカーと遜色ない規模になっていますので、部材調達などメリットも出てくると思います。本業のストック要素が強く計算できる事業であるため、このセグメントはややリスクを取っているようにも見えます。

<合成樹脂事業>
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合成樹脂事業はパチンコ・パチスロの台の樹脂部分の製品や、再生樹脂の製造や販売、ガス検知器等の警報機器の製造・販売をしています。祖業の燃料販売と親和性がありそうですが、2012年に買収したジコー社が本セグメントの大半となっています。売上50億、営業利益1億ですが、減益傾向となっており、表面上は利益率も苦しい状況に見えます。再生樹脂事業にて、自動車のバンパーを原料として活用できるので、そのあたりを見込んで買収したように想像しますが、中堅の石化メーカなどにバイアウトした方がWinWinな気もします。

すべてのセグメントを確認しましたが、事業内容は多岐に渡り、本業の利益でM&Aを中心に収益の複線化を狙っているように見えます。やや手を広げ過ぎてリスクが大きくなっているような気もしますが、潜在的な伸びしろがあることは確認出来ました。(本業とケミカルとパーキング以外は潜ったままとなる可能性もあると思います…)
同じく独立系の自動車ローンを手掛けるプレミアグループのマルチアクティブ戦略とそっくりにみえますが、成長性の低い事業をM&Aしている当社の現状は少し異なるように見えます。

【業績・指標など】
今期決算の内訳です。直近の上方修正済のものではなく、前期の本決算時のデータです。
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売上と利益共に、増加しています。利益成長はやや弱めですが、今期は自動車リースがそもそも減益見通しなのに、3Q時点で前期比2桁利益成長となっていますので、上ブレが期待できる内容と思います。3Qではその他にパーキング、機械工具販売、合成樹脂共に利益成長となっており、概ね好調ですが、昨年好調だったケミカル事業で減益となっています。全てを均しても、営業利益前期比+16%と、大変好調な推移になっています。

指標:PER5.8倍、PBR0.92倍、配当利回り3.26%、優待利回り0.8%、自己資本比率25%、有利子負債倍率2.3倍
小型株の不調も相まって、株価は1200円ほどでめちゃ割安にみえます。トヨシマの負ののれん益の効果があるので実質的なPERは7倍程度になりますが、それでも割安です。リース業は、成長性が低い反面、ストック色が強く、収益バリューになる傾向が多いです。同業の平均はPER10倍程度だと思います。自己資本比率や有利子負債倍率は一見、低くみえてしまいますが、同業のリース業と比較すると自己資本比率が非常に高く、有利子負債も低いので、良好な方だと思います。ただ、残念ながら、万年割安株の筆頭で、評価は非常に低いです。内容を丁寧に確認すると、地味ながら着実に利益成長を遂げていますし、潜在的な成長余地はあるように見えるので、割安成長株としてはかなり有望だと思います。

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通信系SI勤めのSEで、PMをやっています。保有株は友達を合言葉に企業と共に自分も資産も成長するそんな投資が好きです。同業他社など、地の利を活かせる企業に投資します。当ブログはリンクフリーです。

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